市販のTシャツやハンカチを抜染したいのですが、できますか?
既に染められている染料により、色がまったく抜けないものや、抜けても抜け具合に差があるので、どの染料で染められているかが問題となります。市販のTシャツやハンカチにその表示はありませんので、ご自分でお試しいただく他はありません。
化学染料で染めた生地に、型紙を使った捺染で抜染模様を描いてみたいのですが、どうすれば良いですか?
捺染ならPSガムパウダーNを水で溶かして元糊を作り、ロンガリットCを加えた抜染糊を生地に塗布し、抜染(脱色)模様を作ります。但し下地の染料によって抜け方がまったく違うので事前確認が必要です。
木綿・麻用の染料では、リアック・ハンノール・レマゾール等(反応染料)や、シリアス(直接染料)で染めたものはおおむね抜染できます。スレン・ネオスレンやナフトールで染めたものはまったく抜けません。
絹・羊毛をデルクスの酸性タイプで染めたものはおおむね抜染できますが、同じデルクスでも含金タイプのものは抜け難くなります。
ポリロンやカチノン等の化繊用染料は抜染できません。
水75ccに対し25gのPSガムパウダーNを混ぜ合わせて元糊にします。その元糊の1~2割のロンガリットCを量り、同量程度の水で練り、湯煎して溶か してから元糊に加えて抜染糊を作ります。その糊を型紙の上からヘラで糊置きし、乾燥後スチームアイロンで蒸気を与えれば白く抜けます。
化学染料で染めた布を抜染ですべて真っ白にしたいのですが、どんな方法がありますか?
ハイドロで抜染すれば良いでしょう。ただし、どんな染料でも真っ白に抜けるというわけではありません。元々染まっている染料の種類によって抜け方がまったく違います。本来抜けるはずの同じ種類の染料の中でも、色によっては抜けない場合もありますので、事前確認が必要です。
木綿・麻用の染料では、リアック・ハンノール・レマゾール等(反応染料)や、シリアス(直接染料)で染めたものはおおむねハイドロで抜染できます。スレン・ネオスレンやナフトールで染めたものはまったく抜けません。
絹・羊毛をデルクスの酸性タイプで染めたものはおおむねハイドロで抜染できますが、同じデルクスでも含金タイプのものは抜け難くなります。
ポリロンやカチノン等の化繊用染料は抜染できません。
ハイドロ抜染は80℃以上の湯1Lあたりハイドロ10~30gとタナクリンAN5ccを加えた溶液で、液温を保ちながら10~30分処理します。ただし処理中は亜硫酸ガスが発生しますので、換気の良いところで行います。
植物染料と媒染剤で染めた生地がムラ染めになり、浸染で抜染したいのですがどうすれば良いのでしょうか。
化学染料のように真っ白には抜くことはできません。植物染料は媒染剤(金属)と重ね合わせて一つの色になります。そのうちの媒染剤のみ抜くことが可能で す。糸や布の重さの20倍くらいの湯(90℃程度)に20%量のアニノールLを加え、30分ほど処理してからすすぎ洗いをします。そうすると、媒染剤が抜 け植物染料のみの色になります(ただし、石灰等抜けない媒染もあります)。その後、媒染剤を掛け直します。媒染時に起こった染めムラは、これで直ります。
植物染料で無地に染めてから筆描きや版染めで抜染模様を描いてみたいのですが、簡単な方法ではどんな方法がありますか?
暗い地色に明るい模様の明と暗で表現する方法があります。まず、植物染料と媒染剤で地色を染めます。植物染料は特に指定はありませんが、媒染剤は鉄媒染で 暗い地色を染めます。地色を染めた生地の上から、筆描きやステンシルなら『錫着抜液』か『チタン着抜液』で模様を描きます。型紙を使った捺染なら『錫着抜 糊』か『チタン着抜糊』で糊置きします。塗ったところが乾いたら、綿・麻の場合はスチームアイロンをかけ、絹・羊毛なら蒸します。そうすると下地の鉄媒染 (暗い色)が抜けて、後から塗った錫またはチタンに入れ替わり、暗い地色に明るい模様が浮き出てきます。地色がアルミ媒染のように明るい色だと模様はまっ たく目立たず効果がありません。下地が錫媒染(またはチタン媒染)で染めたものを錫媒染(またはチタン媒染)しても変化がなく意味がありません。
藍で染めた布を、浸染で抜染(脱色)したいのですが、どんな方法がありますか?
浸染で藍を脱色するなら藍脱色液があります。藍脱色液は木綿・麻・レーヨンの他、絹・羊毛にも使えます。無地で藍染めした生地を糸で絞りを施してから抜染すれば、淡色地色に濃い模様の絞り染めができます。
20~40℃の湯1Lあたり藍脱色液を200ccとハイドロ5gを溶かした溶液に藍で染めた生地を浸けて抜染します。温度が高いほど、時間が長いほど良く抜けます。
藍で染めた木綿・麻・レーヨンの布に、白の抜染(脱色)模様を描きたいのですが、どんな方法がありますか?
藍の抜染模様の助剤には2種類あります。どちらも木綿・麻・レーヨン専用です。絹には使えません。
①藍模様糊は型用と筆用があり、塗布後放置するだけで抜染できます。筆用には半抜~白抜、半抜のみ、ぼかし用の3種類があります。型用には布の裏への浸透 が良いタイプ(CW)と、布表面のみ白く抜けるタイプ(S)、半抜では抜染力が強・中・弱と分かれており、全部で5種類あります。どれもハイドロを5%加 えて使います。塗布後の放置時間により、藍の抜け具合が大きく変ります。麻は麻でも生平は抜染できません。
②藍抜染剤の場合は、藍抜染型用糊または筆用糊に対して10~20%量加えて塗布し、乾燥後に蒸すかスチームアイロンの蒸気を当てると、藍が真っ白に抜け ます。水洗いで糊を落とした後、水1Lあたりハイドロ1g程度の薄い溶液に生地を数分浸けて藍抜染剤を中和し、すすぎ洗いで仕上げます。藍抜染剤は塩素系 酸化剤なので、中和しておかないと生地が傷みます(藍模様糊は生地が傷む心配がありません)。